【レポート】フルクラウド化に向けたAWSと VMware Cloud on AWS によるハイブリッドクラウドの実践 #AWSSummit
こんにちは、きうちです。
本日は、2019年6月12日から14日まで開催しているAWS Summit Tokyo 2019参加のため、幕張メッセに来ております。
本記事はセッションレポートになります。
セッション情報
セッション名:フルクラウド化に向けたAWSと VMware Cloud on AWS によるハイブリッドクラウドの実践
スピーカー:株式会社ゼンリンデータコム 技術本部 技術統括部 副部長 渡邊 大祐氏
ゼンリンデータコムでは商用サービスインフラとしてVMware仮想環境を保有しており、ハードウェア運用管理の煩雑さからAWS化を順次進めてきましたが、アプリケーションの改修ができず、AWSへ移行困難なシステムの存在が悩みの種となっていました。そんな中でVMware Cloud on AWSに着目し、早期に検証を重ね、2019年から本格的に環境構築を開始します。
レポート
ZDCのクラウド化への取り組み
システム概要
- クライアントサーバモデルのWeb3層
- LAMP構成でミドルウェアの一部はインフラの範囲
インフラ沿革
- 2010年:オンプレ1200台
- 2016年:メインのiDC移転でクラウド、仮想マシン3600台
中長期の転換点
- オンプレミス環境の成熟化
- サーバの仮想化が完了してコスト・可用性の目途が見えた
- AWSの圧倒的存在感
なぜVMC on AWSなのか
クラウド化って何をする?
- 開発部門タスク・・・いろいろたくさん
- 開発:新規開発に集中させて!
- 営業:それやると儲かるのか?
VMC on AWSの価値
- AWSのベアメタル上でVMware仮想マシンが稼働できるHCIサービス
- サービス提供元はVMware
- 既存の資産を生かしつつクラウドのメリットを享受できる
VMCの本格利用(管理編)
利用に際しての心構え
でかい
- 最小単位:SDDC x 1、i3.metal x (3+1)台
- 1年利用金額:28,000,000円
- トライアルにはシングルホストモード
発注契約&支払い
- 発注の流れ:ユーザ→代理店→VMware
- SLAは妥当?
- 途中解約した場合は?
- 支払いの流れ:VMware→クレジット→VMC←ユーザ
- 勘定科目は?
- 監査大丈夫?
- VMホストとその他項目の請求サイクルが合っていない
各領域担当の連携
- ネットワーク担当、サーバ担当、AWS担当
- やりたいこと、やるべきことを決める
- 各メンバー間の隙間を埋める
VMCの本格利用(技術編)
仮想マシンの移行機能
HCXの豊富な移行機能
- コールドマイグレーション
- バルク(ウォーム)マイグレーション
- vMotion
- Cloud Motion
移行方式検討
- 開発環境:Cloud Motion
- 商用環境:コールドマイグレーション→現行と並行稼働させたいので
L2延伸移行(開発系VM)
- 約85%の仮想マシンがバージョンが古くてvMotion不可
- 2019年5月末で約400VMの移行が完了
AWSとの通信連携が難しい
- VMC内部からの通信
- DXでオンプレから接続しているVPCへの通信を確保する必要がある
- VMC専用ENIが作成されたVPCの特定サブネットにしか通信できない
選択肢は二つ
- 中継用Proxyを立てる
- 通信がプロキシ可能か評価
- 可能なものはマネージドELB
- Transit Gateway+VPN
- 大本命
- SLAがちょっと低い99,95%(DXは99,99%)
ロードバランサどうする?
- VMC標準でロードバランシング機能は未提供
- サーバ冗長化スケールアウトのために必須
- ローリングデプロイメントのため分散操作システムを開発部門へ提供している
選択肢は二つ
- ELBでVMC接続VPCから打ち込む
- VMC内に仮想マシンで作る
- サードパーティ製の仮想アプライアンスを採用
その他懸念事項
- 仕様が定まっていない
- VMCの中でも特にHCXは頻繁にアップデートがかかっており、致命的でないバグが多めの印象
- システム停止をお伴うメンテナンスがどの程度あるか?
- ユーザが気づかないうちにVMWareサポートがライブマイグレーションで対応してくれる(らしい)
- Oracle・・・
- 脱Oracleを加速
ハイブリッドクラウドの実践(今後)
クラウドサービスに求めるもの、目指すもの
サービスが求めるシステム特性を踏まえてクラウドを賢く使い分ける
AWS | VMC | |
---|---|---|
メンテナンス | 多 | 低 |
旧システムの互換性 | 低 | 高 |
ハードウェアからの解放
- AWS:アクティブなサービス、効率運用、スケーラブル
- VMC:パッシブなサービス、高集約、安定
まとめ
ZDCのインフラ展望
- スピード、コスト、柔軟性を求めてクラウド化
- VMware Cloud on AWS
- ハイブリッドクラウドの実践
- VMCへ移行、2020年度内にオンプレDCのクローズ
感想
私は実務でなかなかVMware Cloud on AWSに関わることがなかったので、今回のセッションはとてもためになる内容でした。
クラウドを利用する上ではどうしてもクラウドネイティブというキーワードが強調される一方で、「既存の資産を生かしつつクラウドのメリットを享受する」という観点からVMware Cloud on AWSという選択肢がある、ということを強く頭に叩き込んでおこうと思いました。